「竜児、この缶ジュース開けられない」
「ん、ちょっと貸してみ」
余裕でフタを開ける竜児。
「はいよ」
「ありがと!」
缶を受け取った大河が、ゴクゴクとうまそうに飲む。
「ぷはー!ウマイ!」
「…俺にもくれよ」
「いーや!何でアンタみたいな駄犬に…」
「フタあけたのは俺だろ!」
「当然でしょ、飼い犬はご主人様にご奉仕するのが」
「こんのやろ…!」
大河の隙を見計らって竜児が缶を奪った。
「あっ!」
「もーらいっと!ぷはーうまい!」
「…」
「なんだよ」
「か、間接キス…」
「今更じゃねーか。同じ皿の飯食ってんだし」
「う、うっさい!返せ!」
「はいはい」
缶を渡して、竜児は大河を観察する。こいつ、もしかしてこのまま飲むのか…?
「んっんっぷはぁ!潤うわぁ」
「自分から間接キスしてんじゃねーか!」
「ぁ…!」
「ぁ…じゃねーよ!何がしたいんだお前は」
「…はい」
大河が竜児に缶を押し付ける。
「え?」
「はいってば!」
「ちょ、エンドレスじゃねーか!」
「私は飲んでない。この缶に口をつけたのはアンタだけよ」
「お前なぁ…じゃあ飲むけど」
それを見て再び大河が赤くなる。
「……愛いやつめ」

この日の夕飯時、大河の”おかずを別々の皿に盛り付ける案”は却下されたそうな。



作品一覧ページに戻る   TOPにもどる
inserted by FC2 system