「・・・なにこれ?」
「あ!お前また勝手に!」
夕食の後片付けから戻ってきた竜児の目の前、大河が一冊のノートを握ったまま固まっていた。
「ねぇ竜児?なんなのこれ・・・?」
「あ?知ってるだろ?妄想ノートだ」
「うん。それは知ってる。じゃなくて、この内容・・・」
大河が指差すページを後ろから覗き込む。
すぐに、ああと頷く竜児。
「この間な、もし大河が死んだらって考えたら想像が止まらなくてな。具体的にどうなるか書いたらこうなった」
「・・・へぇ」
「いやあ、我ながら力作だ。書きながら涙が止まらなくなった。ほら、ノートのそこここにある染み。涙が零れた跡だ」
「・・・へぇ」
「どうした大河?なんか震えて・・・ああ。感動して泣いてるんだろ?わかるぜ。これは・・・」
「違うわ・・・」
「へ?」
竜児の言葉を遮って振り返った大河は、久々に見る手乗りタイガーへと変貌を遂げていた。
「これは怒りに震えとるんじゃ!なーに縁起でもないもの書いとんじゃ、このクソボケ駄犬がーっ!!」
「ぎゃーっ!!!」

END



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