キーンコーンカーンコーン

実乃梨「さーてっ お昼ごはん♪お昼ごはん♪ 大河ー、高須くん!一緒に食べよ!」
竜児「おう!」
大河「うん」
実乃梨「お、今日も高須君の作ったお弁当、とっても美味しそう。大河がうらやましいぜ〜」
竜児「そ、そうか?大した事ないと思うぞ。櫛枝のだって美味しそうじゃないか」
実乃梨「えへへ……照れちゃうなあ」
大河「フン」
北村「お、みんな食べてるな。俺も一緒にいいか?」
竜児「ああ、食おうぜ」
大河「き、きたむらくん…」
実乃梨「おう!食べよう食べよう」

竜児(大河……昨日からずいぶん元気がなかったけど、北村の顔を見て少しは調子が戻るかな)

北村「相変わらず高須と逢坂の弁当は凄いな。俺も食べてみたいぞ」
大河「わ、わ、わ、私のでよかったら、ど、ど、ど、どうぞ」
実乃梨「おう〜大河ったら、照れちゃって〜」
女生徒D「ね、高須君」
竜児「あ…ど、どした?」
実乃梨「!!」
大河「!!」
女生徒D「朝言った話の事なんだけどさ、高須君に会わせたい子がね、今日の放課後に会いたいんだって。だから高須君さ、放課後つきあって」
竜児「え、でもなぁ、えーと、悪いんだけどさ、今日は帰りに大河と一緒にスーパーに行っておかず買わなきゃいけないんだ。時間限定の特売があるんだよ」
女生徒D「じゃあ逢坂さんに買い物してもらえばいいじゃない。可愛い女の子が勇気出して待ってるのに、会わずに帰るわけ?」
竜児「い、いや、でもさ」
女生徒D「逢坂さんとは付き合ってるわけじゃないんでしょ? ね、逢坂さん! 昨日言ってたもんね。高須君とは何でもないって」
北村「逢坂…?」
大河「き、きたむらくん………そ、そうよ。こんな駄犬の彼女なんてありえないでしょ!」
実乃梨「大河…!」
女生徒D「ほらね!じゃ高須君、必ず付き合ってよね。帰らないでよ」
竜児「あ、ああ。やれやれ……困ったな」
大河「………」


    *  *  *  *  *


ゆり先生「それじゃ今日の授業はこれで終わりね。みんなしっかり復習しておいてねー」

    ガヤガヤ……

竜児「ああ…とうとう授業が終わっちまった……」
女生徒D「高須君!」
竜児「お、おう」
女生徒D「それじゃ、一緒についてきて。紹介するから」
竜児「わ、わかった。大河、先に帰っててくれ」
大河「…うん」
女生徒D「屋上だから。ほら行って!走る!」
竜児「わかったわかった、押すなってば。行くよ。じゃあな大河」

    タッタッタッタッ………

女生徒D「――――あと逢坂さん」
大河「? 何?」
女生徒D「もし高須君が告白OKしたらさ、逢坂さん、もう高須君のそばにいるの止めてね。一緒に帰ったりとか、一緒にご飯食べたりとか、もうしないでもらいたいの。そういうのはこれからは、全部あの子が代わりにするからさ」
大河「へ?」
女生徒D「だってそうでしょ? 変じゃない。彼女がいる男子とベタベタしてたらさ。だから今日限りで終わりにしてね」
大河「そ、そうだけど―――」
女生徒D「そうでしょ?じゃあよろしくね。私も、もう行くから。また明日ね逢坂さん」
大河「ね、ねえ待って、待ってってば」
女生徒D「バイバイ〜!また明日ね!」
大河「そんな……」


     *  *  *  *  *


実乃梨「ねえ大河」
大河「あ……みのりん。どうしたの?」
実乃梨「なんでさ……なんであんな事言ったの?」
大河「あんなって―――」
実乃梨「わかってるよね、大河。私が何聞いてるのか。大河は、高須君の事、本当に必要ないの?」
大河「そ、それは―――」
実乃梨「あれって本気なのか? 本当に高須君の事は何とも思ってないんだ?」
大河「あた、あたしは―――」
実乃梨「どうなんだよ!」
大河「み、みのりん、どうしたの?そんなに大声出して」
実乃梨「大河、私、大河が高須君の事がいらないって言うんなら、その言葉を、大河を信じるよ」
大河「みのりん……?」
実乃梨「最後にもう一度聞く。大河は高須君を―――好きなの?」
大河「え、それは―――す、好きなわけ―――ないに決まってる。だってただの犬だもん」
実乃梨「…………そっか。わかった、大河。怒鳴ってごめんよ。私、その大河の言葉を信じる」
大河「みのりん―――」
実乃梨「私の、親友だから」


     *  *  *  *  *


実乃梨「あ、あれは……高須君」
大河「………」
竜児「よお、待っててくれたのか。何だか悪いな。櫛枝まで」
女生徒D「(じろっ)あれ、逢坂さん、まだ残ってたんだ」
大河「………」
実乃梨「それで、どんな女の子だったんだい?おじさん興味あるな〜教えてよ」
竜児「あ、ああ。それが―――」
女生徒D「うん!それが二人ともすごくいい雰囲気だったの。だからおためしに付き合ってみたらって事になったのよ!本当、紹介してよかった〜〜」
大河「え」
実乃梨「!?  高須君、それホント!?」
竜児「いや、気がついたら何だかそういう事になっちまって」
女生徒D「ホントホント! 高須君も告白された時は凄く嬉しそうにしてたしね、よかったねー」
竜児「え、そうか?そんな事ないと思うぞ」
女生徒D「晴れてカップル成立ね。おめでとー」
竜児「カップルなのか? 一度二人で遊びに行ってみようって事になっただけじゃ……」
女生徒D「二人でデートなんだからカップルでしょ! 今さらグダグダ言わない! 男でしょ?」
竜児「あ、ああ」
実乃梨「それって…」
女生徒D「そういうわけだからー、高須君、校門であの子が待ってるからさ。一緒に帰ってあげてね」
竜児「お、おう。わりぃ大河、待っててくれたのに」
大河「うん――」
女生徒D「逢坂さん。さっきの話、お願いね。さ、高須君はもう行った行った!女の子を待たせる気!?」
竜児「わかったわかった。だから押すなって」
大河「………」
実乃梨「………」


     *  *  *  *  *


竜児「ただいまー」
大河「遅かったわね」
竜児「悪い、女の子の家がここから少し離れててよ。送っていったら時間かかっちまった」
大河「あーそー。ご苦労様」
竜児「すぐ飯の準備すっからよ」
大河「早くしろ」

竜児「さーて、今日はチャーハンにすっかな」
大河「ねえ竜児」
竜児「ん?」
大河「―――ううん。なんでもない」


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