「高須君、実乃梨ちゃん、おはよう」
「おう、おはよう川嶋」
「あーみんおっはよー!登校途中に会うなんて珍しいねえ」
「って言うか、高須君とは会うこと自体が久しぶりよね」
「まあ、クラスが違っちまうとなかなかな」
「おいこらばかちー」
「あら〜?他に誰か居るのかしら〜?
 声はすれども姿は見えず、ほんにあなたは」
「誰が屁じゃーっ!」
「あ〜ら逢坂さん。相変らず小さいんで視界に入らなかったわ、ごめんなさ〜い」
「貴様……その両の眼を節穴から風穴に変えてやろうか……!」
「落ち着け大河。川嶋もあんまり大河をからかわないでくれよ」
「はいはい。まったく高須君はタイガーに甘いんだから。
 ……ってあれ?高須君ちょっと太った?」
「ん?そうか?」
「……みのりん」
「……おうよ大河」
 コンビニ神拳、炸裂。

「……高須竜児、脂肪確認!」
「お、おう……」
「だけど珍しいわね、高須君が太るなんて。何か心当たりはない?」
「いや、まあ……ちょっとな」
「何よ竜児、はっきりしないわね。言っとくけど私、婚約者がブクブクブクブク太っていくなんて嫌だからね」
「だけど大河よ、高須君の太る原因が大河にあったとしたらどうするね?」
「ちょ、ちょっとみのりん、何言い出すのよ」
「あー、幸せ太りってやつか。けっ、お二人さんはラブラブでよろしゅうござんしたね」
「んー……まあ当たらずとも遠からずって所だ」
「りゅ、竜児!?」
「いや、大河のせいってわけじゃねえんだ。
 今、大河がうちで夕飯食うのって週に三回ぐらいなんだけどさ、そうでない日もついつい大河が居る時の感覚で量作っちまうんだよ。
 次の日や弁当に回したりもするんだけど、そう出来ない料理もあるし」
「で、その分食べすぎると、そういうわけかね」
「ああ、残すのもMOTTAINAIしさ。だからまあ、これは俺の責任だな」
「責任は高須君でも、原因はやっぱりタイガーじゃないのさ、それ。
 でもまあ、高須君ならダイエットも楽勝じゃねーの?」
「そういやそうだねえ。食事の管理は自分で出来るし、運動も苦にしないだろうし」
「……甘いわね」
「おい、大河?」
「私のせいとか言われて黙ってるわけにはいかないわ。いくわよ竜児!」
「おうっ!? い、いきなり首にしがみつくなっ!」
「ほら、さっさとおんぶしなさいよっ!」
「おんぶ!?」
「そう、これから毎日私をおんぶして登下校するのよ。いい運動になるでしょ」
「俺の両手塞がっちまうじゃねえか。鞄どうするんだよ」
「そのぐらい私が持ってあげるわよ。ほら、さっさと歩く!」
「……なあ大河、これってかなり恥ずかしいんだが……」
「ダイエットのためよ、我慢しなさい」

「……ねえあーみん、あれってさ……」
「……絶対タイガーが高須君とくっつきたいだけよね」
「さすがは大橋高校一のラブラブカップルだぜ!」
「バカップルの間違いでしょ、それ」





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