「そうだ大河。俺、今日ちょっと出かけるからな。昼飯は冷蔵庫に入れとくから、レンジで温めて泰子と食べてくれ」
「ん、わかった。けど、どこに行くのよ?」
「おう、中学の同級生でちょっと遠くの高校に行った奴がいてさ、そいつが夏休みで帰ってきてるってんで、久しぶりに会いにな」
「へー、あんたにも昔の友達って居たのねー」
「……当たり前だろ」


「ところで高須、お前、彼女ができたんだってな」
「はぁ? いねえぞ彼女なんて」
「またまた、とぼけんなって」
「あのなあ、俺が女子と接するのが苦手なのはお前も知ってるだろうが」
「だけど小木が見たって言ってたぞ、すっげー可愛い女の子と仲良く買い物してたって」
「おう? ……いや、それはだな……」
「なんでも周りが引きまくるぐらいにラブラブなバカップル状態だったんだって?」
「中村……小木がやたらと話を大袈裟にするのを忘れたわけじゃねえだろ?」
「そりゃわかってるさ。でも、楽しそうに買い物してたってのは本当だろ? 証拠もあるしな」
 言いながら見せられた写メには、確かにスーパーで微笑みつつ何かを話している大河と竜児の姿が。
「お……おう……」
「だけど、こんなに可愛い子見たことないぞ。一体どうやって知り合ったんだ?」
「……い、言っとくけどな、大河は確かに見た目は可愛いけど、中身はお前が想像する数倍……いや、数十倍は凶暴だからな」
「へー、大河ちゃんていうのか。下の名前は?」
「いや……名前の方が大河だ」
「……なんだよ! 名前呼び捨てかよ! ますます彼女確定じゃねえか! いやー、大橋の堅物番長にもついに春がきたかー」
「だから違うって! 大河とは、その、近所で、ちょっと縁があって……そうだ、家族! 家族みたいなもんなんだよ!」
「彼女じゃなくて、家族……ってことは……嫁か!? 嫁なのか!? そうか……あの高須がまさかなあ……」
「そうじゃねえぇぇぇっ!!」



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